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ふるさと納税は2026年10月から何が変わる?改正内容を解説

結論:2026年10月から厳しくなるのは、寄附を受け取る「自治体側」のルールです。寄附する人の税金の仕組み(自己負担2,000円で住民税・所得税が軽くなる仕組み)は変わりません。

寄附する人に関係するのは、次の3点です。

  • 地元との結びつきが弱い返礼品は、10月以降は提供できなくなります。
  • 自治体が使える経費の枠が狭くなるため、返礼品の内容が見直されることがあります。
  • 2027年1月以降の寄附からは、ごく一部の高所得の方に限り、控除の一部に上限(193万円)ができます。
目次

なぜ2026年10月に改正されるの?

寄附金のうち、地域のために使われずに「経費」として出ていくお金が多すぎる、と国が判断したためです。

総務省の調査では、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の寄附は全国で約1兆3,314億円でした。このうち返礼品・送料・仲介サイトへの手数料など、寄附を集めるための経費が約48%を占めています。国は、ふるさと納税の寄附は税金の控除を使って集めた「公金」であり、住民サービスや地域づくりにもっと使われるべきだとしています。

具体例:1万円の寄附の使われ方

令和7年度の全国平均で、1万円の寄附の使われ方を計算すると次のとおりです。

使い道1万円あたり
自治体が地域のために使えるお金約5,210円
返礼品の購入約2,650円
送料・決済手数料・仲介サイトへの委託料などの事務費約2,140円

今回の改正は、この「自治体が使えるお金」の割合を段階的に増やすことを目指しています。

2026年10月から何が変わるの?

変わるのは「返礼品として認められる品の基準」と「自治体が使える経費の枠」です。あわせて、寄附金の使い道などの公表が義務になります。

(出典:総務省「ふるさと納税の指定基準の改定等について」)

返礼品の「地元産」の基準が明確に

ふるさと納税の返礼品は、もともと「その自治体の地場産品」であることが条件です。ただ、よその地域の材料を使った加工品などでは、何をもって「地元産」とするかの判断が自治体ごとにばらばらでした。

10月からは、地元での加工などで生まれた価値が、品物の価値の半分を超えているかを、原則として「価格」で判断します。そのことを製造者が証明し、自治体が返礼品の提供を始めるまでに公表します。証明書には一般の販売価格も書き、合理的な理由なく一般価格より高く仕入れることは認められません。

具体例として、総務省は次のようなケースを問題視しています。海外から6万円で輸入したワインを地元の倉庫で保管しただけで、自治体に返礼品として12万円で納品していた例です(一般のお客さんには8万円で販売)。

自治体のロゴを入れただけの製品は認められにくく

自治体のPRグッズは、よその地域で作られたものでも返礼品にできる例外があります。10月からは、自治体が返礼品とは別に、PRのために実際に配ったり売ったりした実績と、今後の計画が必要です。返礼品として出せる数も、その実績の数までに限られます。

例えば、よそで作られた市のロゴ入りタオルを返礼品にするには、市が直近1年間にイベントなどでそのタオルを配ったり売ったりしている必要があります。

自治体が使えるお金の割合を段階的に引き上げ

これまでは「寄附を集める経費は寄附額の5割以下」というルールでした。10月からは「自治体が使えるお金を寄附額の一定割合以上にする」ルールに変わり、その割合が段階的に上がります。2026年10月からは52.5%以上、2029年10月以降は60%以上です。判定は、自治体ごとに1年間(10月〜翌年9月)の合計で行います。

なお、返礼品の調達費用を寄附額の3割以下とするルールは変わりません。

寄附金の使い道とお金の流れを公表

自治体は、寄附金を何に使ったかを、決算を議会に提出した後にホームページで公表します。また、寄附を集めるために1つの支払先へ年間100万円以上支払った場合は、支払先・金額・目的も公表します。

寄附する私たちにはどんな影響があるの?

多くの方にとって、税金面の影響はありません。影響が出るのは、返礼品の選択肢と内容です。

返礼品の選択肢と内容が変わる可能性

新しい基準を満たさない品は、10月以降は返礼品として提供できません。大手のふるさと納税サイトでも、お気に入り登録や過去の寄附履歴にある品が掲載終了になる可能性がある、と案内しています。

また、自治体は送料や手数料などの経費を減らす必要があります。減らしきれない場合は、返礼品の量や内容が見直される可能性があります。

控除の仕組みは変わらない

自己負担が2,000円であること、控除上限額の計算方法、ワンストップ特例や確定申告の手続きは、今回の改正では変わりません。

高所得の方は2027年の寄附から上限に注意

ふるさと納税の控除は、「所得税の控除」「住民税の基本分」「住民税の特例分」の3つでできています。2027年1月以降の寄附から、このうち「住民税の特例分」だけに193万円の上限がつきます。

総務省の試算(独身または共働きで給与収入のみのモデルケース)では、給与収入1億円の方の特例分がちょうど193万円です。そのため、給与収入1億円までの方は影響を受けません。一方、給与収入3億円の方は、特例分が593万円から193万円に抑えられます。

9月30日までに寄附したほうがいいの?

欲しい返礼品が決まっている方は、9月30日までの寄附を検討しましょう。返礼品にこだわらない方は、急ぐ必要はありません。

新しい基準は10月1日から適用されるため、今ある返礼品の一部は10月以降に選べなくなる可能性があります。一方、控除の対象は1月1日〜12月31日の寄附です。年内であれば、10月以降に寄附しても控除は受けられます。

寄附の前に確認したい3つのポイント

  1. 控除上限額:上限を超えて寄附した分は、自己負担が増えます。今年の収入の見込みで確認しましょう。
  2. 手続きの方法:ワンストップ特例は、確定申告をしない給与所得者などで、寄附先が5自治体以内の方が使えます。申請書は寄附した翌年の1月10日までに届くよう提出します。
  3. 申込先のサイト:総務省は、寄附金をだまし取る偽サイトへの注意を呼びかけています。申込前に運営者を確認しましょう。

よくある質問

Q1. 10月以降も、ふるさと納税を利用するメリットはありますか?

A. あります。自己負担2,000円で税金が軽くなる仕組みも、返礼品を寄附額の3割以下とするルールも変わりません。変わるのは、返礼品として選べる品の範囲です。

Q2. 9月30日までに申し込んだ返礼品が、10月以降に届いても問題ありませんか?

A. 発送の時期や扱いは自治体やサイトによって異なるため、申込ページの案内を確認してください。心配な場合は、寄附先の自治体に問い合わせるのが確実です。

Q3. どの返礼品が対象外になるのか、どこで確認できますか?

A. 国は、対象外となる品目の一覧を公表していません。ふるさと納税サイトや自治体の案内を確認しましょう。10月以降は、加工品などについて「地元で価値の半分以上が生まれた」という証明の内容を自治体が公表するため、地元産といえる根拠も確認できるようになります。

Q4. 193万円の上限は、一般的な会社員にも関係しますか?

A. ほとんどの方には関係ありません。総務省の試算では、上限の影響を受けるのは給与収入がおおむね1億円を超える方です。家族構成や他の控除によって変わるため、該当しそうな方は税理士にご相談ください。

Q5. ふるさと納税サイトのポイント還元は、まだ受けられますか?

A. 受けられません。2025年10月から、寄附に対してポイントを付ける仲介サイトを通じた募集が禁止されています。

Q6. 寄附した自治体がルール違反で指定を取り消されたら、どうなりますか?

A. 総務大臣の指定を受けていない自治体への寄附は、ふるさと納税の対象外です。この場合、住民税の特例分の控除が受けられず、自己負担が2,000円では済まなくなります。取消期間は、2026年4月から「3年以内」に変わりました。

【詳しく知りたい方へ】制度改正の詳細は?

ここからは、改正の根拠や数値を詳しく知りたい方向けの補足です。総務省の資料で使われている正式な用語を( )で添えています。

改正の全体スケジュール

時期内容
2025年10月1日(実施済み)寄附にポイントを付ける仲介サイトを通じた募集の禁止
2026年4月1日違反した自治体の指定取消期間を「一律2年」から「3年以内」に変更
2026年10月1日地場産品基準の明確化、寄附金活用可能額の基準の新設、使い道の公表の義務化、最大5年前の違反まで取消の対象に
2027年1月1日以降の寄附住民税の特例分の控除に193万円の上限

2026年10月の改正は、総務大臣が「ふるさと納税の対象になる自治体」を指定するときの条件(指定基準)の見直しです。指定は毎年10月から翌年9月までの1年間(指定対象期間)ごとに行われます。根拠は、令和7年総務省告示第220号と令和8年度税制改正による地方税法の改正です。

地場産品基準の3つの見直し

  1. 価値の半分以上が地元で生まれたかの判断方法(付加価値基準):これまでも「地元で相応(過半)の付加価値が生じていること」が条件でしたが、計算方法は自治体ごとに異なりました。今後は価格による計算が原則です。製造者が証明し、自治体が返礼品の提供開始日までに一覧で公表します。
  2. 仕入れ価格の妥当性(調達費用の妥当性確保):証明書に一般販売価格も記載して公表します。合理的な理由なく、一般販売価格より高く調達しないことが求められます。
  3. PRグッズの条件(広報目的基準):次の条件をすべて満たす必要があります。①直近1年間に自治体がPRのために自ら調達し、配布・販売した実績がある。②今後1年間も同様に配布・販売する計画がある。③返礼品として出す数が①の実績数量を超えない。①②の「PR」には、返礼品としての提供は含みません。

寄附金活用可能額の基準

寄附金活用可能額とは、1年間(指定対象期間)の寄附の合計から、寄附を集める経費(募集費用)の合計を差し引いた、自治体が使えるお金です。募集費用には、返礼品の調達費、送料、広告費、決済手数料、ワンストップ特例や受領証の事務費などが含まれます。

指定対象期間自治体が使えるお金の割合経費の上限(目安)
2025年10月〜2026年9月―(経費を5割以下とする旧ルール)50%
2026年10月〜2027年9月52.5%以上47.5%
2027年10月〜2028年9月55%以上45%
2028年10月〜2029年9月57.5%以上42.5%
2029年10月以降60%以上40%

法律上の基準は60%以上で、2029年10月までは経過措置として段階的に適用されます。返礼品を出していない自治体も、この基準の対象です。

参考までに、令和7年度の全国の経費は6,382億円(寄附額の47.9%)でした。内訳は、返礼品の調達26.5%、事務費等13.6%、送料5.7%、決済手数料1.5%、広報0.7%です。仲介サイトの運営会社への支払いは、返礼品代と送料を除いても1,490億円(寄附額の11.5%)ありました。

使い道とお金の流れの公表

  • 使い道(寄附金活用可能額の使途):自治体が決算を議会の認定に付したとき、速やかにホームページで公表します。
  • 経費の支払先(募集費用の透明化):1年度に1つの支払先へ合計100万円以上支払った場合、支払先の名称・所在地・金額・目的を、翌年度の9月30日までにホームページで公表します。初回は令和7年度分です。支払先が個人の場合は、本人の同意がない限り氏名・住所は公表しません。

指定取消のルール

基準に違反した自治体は、指定を取り消されることがあります。2026年4月からは、取消期間が「一律2年」から「3年以内」になりました。2026年10月からは、最大5年前の違反まで取消の対象になります。

193万円の上限の仕組み

ふるさと納税の控除のうち、「住民税の特例分(特例控除額)」だけに193万円の上限がつきます。193万円は、給与収入1億円の方が上限まで寄附(438万円)した場合の特例分の額です。所得税の控除と住民税の基本分は変わらず、寄附できる額にも上限はありません。

給与収入特例分(現行)特例分(2027年寄附分から)
1,000万円12万円12万円(変更なし)
5,000万円93万円93万円(変更なし)
1億円193万円193万円(変更なし)
3億円593万円193万円

※独身または共働きで、給与収入のみ、住宅ローン控除などを受けていない場合の総務省の試算です。

出典

著者情報

熊坂開基税理士事務所スタッフ:熊倉佑菜
簿記2級保持、税理士試験勉強中

更新日:2026年9月29日
※本記事は執筆時点で公表されている情報にもとづいており、その後の法改正・制度変更等により内容が変更・修正される場合があります。本記事の内容を利用したことにより生じたいかなる損害についても、当事務所は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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この記事を書いた人

税理士の有資格者のチェックを受けながら、内部のスタッフが執筆を担当しています。

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