前倒し相続
前倒し相続
税金と不動産、両方の視点で備える。
なぜ「前倒し」が必要なのか
「相続」と「親の家じまい」は、税金の話だけでも、不動産の話だけでも解決しません。税務と不動産の両方の視点がなければ、家族にとって最善の判断はできないのです。
相続や親の家に関する相談は、生前よりも亡くなった後に一気に増えるのが実態です。特に多いのは「東京に住んでいるが、地方や郊外に親の家が残っているケース」。親が住んでいた家を相続したが住む予定はなく、どう扱えばいいかわからない——こうした声が後を絶ちません。
相続では、税金・不動産の価値・家族関係・思い出や感情など、さまざまな問題が絡み合います。家じまいは単なる不動産の処分ではなく、家族の人生の整理でもあります。
だからこそ、相続が起きる前に「前倒し」で備えることが、家族を守る第一歩になるのです。
「負動産」という現実
近年、「負動産」という言葉が使われるようになっています。これは売れない不動産、あるいはお金を払ってでも手放さなければならない不動産を指します。
- 地方だけでなく、千葉県など首都圏でも発生
- 売却できず、管理費や固定資産税だけがかかる
- 相続税の計算ではプラスの財産なのに、実際にはマイナスの資産
相続税の評価では、不動産は固定資産税評価額や路線価を基準に「資産」として計算されます。しかし現実には、評価はあるが売れない・お金を払って手放すべき不動産が確実に存在します。
相続では特定の財産だけを選んで放棄することはできません(相続放棄は全財産が対象)。そのため、現金は欲しいが不動産は不要——という選択ができず、問題が深刻化しやすいのです。
だからこそ、相続が発生する前に、処分できる不動産は先に整理しておくという考え方が重要です。相続が起きてからでは選択肢が限られてしまいます。
親の家、売るべき?残すべき?
家じまいの判断で最初に考えるべきなのは、誰がその不動産を引き継ぐのかです。
- 誰が住むのか
- 誰が管理するのか
- 誰が固定資産税を払うのか
特に不動産が複数ある場合、実家・土地・投資物件などをどのように分けるかで兄弟姉妹の意見が分かれることがよくあります。
注意したいのは共同持分での賃貸運用。修繕費・管理・売却などの判断で揉めることが多く、トラブルの原因になります。誰も使わない家を残してしまうと、管理・修繕・固定資産税の負担だけが残ります。
不動産の価値は常に変動します。都市部の地価は上昇し、地方は下落する傾向がある中、「どの不動産を誰が相続するのか」によって将来の資産価値に大きな差が出ます。
まず何をどうするかを話すには、不動産の正しい情報を知ることが第一歩です。
相続登記の放置・空き家放置のリスク
実務上、非常に多いのが以下のケースです。
- 建物の相続登記は済んでいるが、私道や共有持分の登記が未了
- 結果として売却不可に
2024年4月から相続登記が義務化されました。過去の相続分にも遡及適用され、施行日から3年以内(2027年3月末まで)に登記が必要です。放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。
老朽化した空き家を放置すると——
- 特定空き家に指定 → 固定資産税の住宅用地特例が解除(税額が最大6倍に)
- 行政から助言・指導・勧告・命令の段階的措置
- 改善されない場合は行政代執行による強制解体 → 費用は所有者に請求
解体費用は相続税の債務控除の対象にならず、兄弟間で「誰が払うのか」で揉める原因にもなります。
空き家問題は、空き家になってからでは遅い。誰も住まなくなる前に、次の選択を考えておくことが大切です。
「誰も相続したくない」不動産の出口戦略
固定資産税が安くても、子どもや孫へと負担を引き継がせてしまうことを懸念し、家じまいとセットで整理したいという人が増えています。
- 境界確定が不要な場合もある
- その分、費用は高額になりやすい
- 農地は法律の制限で引き取りが難しいケースも
- 2023年4月開始。土地を国に引き取ってもらう制度
- 境界確定・整地・建物なしなど厳しい条件あり
- 審査手数料(1.4万円)+負担金(原則20万円〜)が必要
どちらにもメリット・デメリットがあるため、事前の現状把握が不可欠です。山林や農地が含まれる場合は、法律の制限・都市計画・利用状況によって対応方法が大きく変わるため、早めの状況確認が特に重要です。
税理士だけでも、不動産屋だけでもダメ
相続と家じまいで最も重要なポイントがここです。
| 専門家 | 得意分野 | 見落としがちな点 |
|---|---|---|
| 税理士 | 相続税の計算・申告 財産評価(路線価・固定資産税評価) |
実際に売れるか・利用できるかの現場判断 |
| 司法書士 | 所有権移転・相続登記 | 私道持分の確認漏れ、不動産の全体像 |
| 不動産会社 | 売買・賃貸・活用方法 | 税務上の有利不利、売る予定がない物件の対応 |
現実には、「評価はあるが売れない」「税金はかかるが資産価値はない」というケースが確実に存在します。1つの不動産を、税務と不動産の両面から戦略的に考えることが本来あるべき姿です。
家じまいで最初に必要なのは「物件調査」です。土地の権利関係・道路の状況・法律上の制限・実際の価値を確認することで、税理士・司法書士・不動産会社すべてが同じ情報をもとに判断できるようになります。
「小規模宅地等の特例」の落とし穴
相続税には小規模宅地等の特例という制度があります。被相続人が住んでいた土地(330㎡まで)を一定の条件で相続する場合、土地の評価額を最大80%減額できるという制度です。
例えば、330㎡以内で評価額1億円の土地なら、条件を満たせば2,000万円として計算される可能性があります。この特例が使えるかどうかで相続税額は大きく変わります。
被相続人が老人ホームや介護施設に入っていた場合、この特例を使うには以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 要介護認定・要支援認定等を受けていたこと
- 入所先が老人福祉法等に規定する一定の施設であること
- 自宅を賃貸など他の用途に供していないこと
施設入所後に自宅を賃貸に出してしまうと、特例が使えなくなるケースがあります。税理士への早めの相談が必要です。
生前に決める・片付けることの重要性
100万〜200万円かかるとしても、
元気なうちに自分の財布から整理する。
その方が家族はもめない。
これは不動産の現場で頻繁に聞かれる声です。相続は「お金の問題」だけではなく、家族関係の問題でもあります。親が元気なうちから考えておく方が圧倒的にスムーズです。
実家の片付けも同様です。長年暮らしてきた家には思い出の品がたくさんありますが、実際にはほとんどが使われていない物。荷物が片付いていなくても物件調査や査定は可能ですし、荷物が残ったまま売却する方法もあります。
急いで決める必要はないが、少しずつ準備を始めること。不動産の情報を集め、状況を理解しておくだけでも、判断の準備・心の準備の両方ができます。
前倒し相続の進め方
後悔しない相続への第一歩
相続と家じまいが複雑になる理由は明確です。
- 税金だけで判断してしまう
- 現場だけで決めてしまう
- 両方をつなぐ視点がない
税金と不動産、
両方の視点で備える。
税金だけで考えない。現場だけで決めない。
両方の視点を合わせて、
家族にとって一番納得感のある形を探す。
それが、後悔しない相続への第一歩です。
その他のサービス
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